

どんな格闘ゲームでもほぼ共通システムとして存在する投げ技。「投げを制するものは2D格闘を制す」こんな格言があるかどうかは定かでは無いが、そういった言葉があっても不思議では無いくらい「投げ」は重要なシステムである。今回はヴァンパイアハンター・ヴァンパイアセイヴァーの投げシステムを解説すると共に、他のカプコンゲームとの比較をして「投げ」について考察していきたい。

ハンターの投げ関連のシステムで特徴的なのは、投げの発生の早さに対し回避行動が遅いことが挙げられる。近年の2D格闘ゲームに見られる「上に入れた瞬間に投げ無敵になる」というものが無く、空中やられの吹き飛び後など上イレッパでも投げられてしまうという状況がある。平均的な小技の発生が5フレと遅めなのも特徴で、打撃ガード後の投げ(当て投げ)に対して、小技暴れで割り込めない。ただし投げ側も1フレもズレ無く投げにいかなければならないのと、小技で止めた時にそのままチェーンからコンボという反応が簡単なため、小技暴れという選択肢は充分にありえることになる。また、相手が投げ可能時のみ投げ動作に入るため、相手がジャンプ等の回避行動とっていた場合、タイミングによっては投げスカリ動作に入らず通常技が出て自動2択となる場合も多い。
投げ成立後の回避方法は「投げ受身」となる。レバーは斜め要素では受付けず、真横のみとシビア。そのため受け身を取る際は必ず立つ必要が出てくる。下段からのコンボが痛い&立ち小K系が下段のキャラも多いことが投げが強い要因の1つとなっている。受身後の状況はキャラによってカナリ違うものの、投げた側が攻めを続行できる場合が多い。

セイヴァーの通常投げは、予備動作がなく入力した瞬間に投げが発生する為、投げスカリのモーションがない。(コマンド投げは、発生が技毎に異なり、投げスカリモーションがある)。投げが発生しなかった場合はハンターと同じく打撃技が出る為、相手が地上にいれば投げ、投げを回避しようとジャンプした場合は、打撃が発生し空中の相手をたたき落とすという自動2択が可能だが、上イレッパが強いゲーム戦略と高速なゲームスピードと相まって自動2択が強力な選択肢となる。セイヴァーの移動起き上がり後は、ほとんどのキャラが投げ技を5フレ間使用できない。投げ無敵時間は、上記の通り「4or5フレ」となるが、基本的には4フレが投げ無敵であり、5フレ目の無敵はランダムとなる。セイヴァーはほとんどのキャラの最速の小技が5フレ発生の為、最速で暴れた場合でも、完璧に重ねられた投げを潰せない場合がある。ただこれもゲームスピードが速いため容易なことではない。
投げ成立後の回避方法は「投げ受身」となる。成功するとダメージ半減&ダウンせずに吹き飛び状態になる。コマンド投げは投げ受身不可(一部例外あり)。しゃがみながらでも投げ入力が可能な為、AG入力の副産物として投げ受身になる場合が多い。

投げ発生が早く、投げ無敵も短く、投げを置くという動作が可能なため非常に回避しづらい行動になっているが、後述する高性能な「投げ抜け」部分でバランスを取っている。平均的な小技の発生が3フレとカナリ早いが、それ以上に投げ無敵が短いのが特徴。通常技の出掛かり等は投げ抜け不可のため、あえて投げを遅めに重ねて相手の投げ抜け暴発で出た小技を投げるといった独特の駆け引きもある。スト4ではヴァンパイア系とは異なり「投げ受身」ではなく「投げ抜け」が採用されている。投げ発生モーションを投げられても投げ抜けになるため、投げ抜け猶予は立っていた場合に限り「投げ成立前3フレ+投げ抜け後7フレ」となる。投げ成立後の入力にも関わらず完全にダメージ無しで無効化でき、投げ抜け後も距離が離れて完全5分と抜群の高性能になっている。

投げ発生がそこまで早くなく、投げ無敵もやや長め、投げ動作を置くことも出来ない、などなどカプエス2では弱めの投げ性能になっている。投げ無敵に関しては技を出すと無敵が切れるが、小技発生が4フレと早めの技が多く、このシステムを利用して投げるのはやや難しい。
スト4と同じく投げ成立後の回避方法は「投げ受身」ではなく「投げ抜け」。投げ成立後の後入力で無効化出来る。ただしK投げは猶予が3フレとカナリ短く連打してても成立しない場合がある。投げ抜け後はやや離れた間合いとなり、投げ抜け側が1フレ有利。

投げ発生は遅めで投げ無敵もやや長めながらも投げを置くことが出来るため投げやすい部類に入るだろう。平均的な小技の発生が4フレで小技暴れも反応が遅れると投げに負ける。投げ成立後の回避方法はヴァンパイア系と同じく「投げ抜け」では無く「投げ受身」となる。成功するとダメージ半減&ダウンせずに吹き飛び状態になる。そもそも「受身」のシステムがあるためダウンする状況が少なく、キャラによってはダウンを奪えるのが投げと大足のみというキャラも多い。また、ガードクラッシュのシステムの存在によりダウン後の起き攻めがカナリ強いことから、ダウンせずに吹き飛び状態になる「投げ受身」が重要となっている。

他のカプコンゲームの数値を交えてざっと紹介してきたが、カプコン系ゲームの投げで重要な点は以下の3つのポイントに集約できると言える。
小技暴れが通用するカプエス2とZERO3に共通することは、ガードクラッシュが存在すること。投げ以外にもガードを崩す選択があるゲームにおいては投げがやや弱めの性能に設定されていることがわかる。セイヴァーは前述した通りランダム要素が交ざるためで△に設定している。
ここで目立つのが1つだけ「×」のハンター。これはハンターが中段の少ないゲームという点に理由がある。ヴァンパイアというと豊富な中段というイメージが浸透しているが、ハンターに限って言えば中段から大ダメージを奪えるのはモリガン・アナカリスぐらいなもので、他のキャラは中段がダメージソースには成り得ない。つまり、下段ガードが強いゲーム性において投げを狙うことによって相手を立たせる駆け引きを作り出している。なお、スト4はしゃがみ状態に比べ、立ち状態の方が猶予が3フレほど長いため△としている。
これはバランスという側面以外にも近年のトレンドという見方もできる。特にスト3以降のカプコンゲームでは投げ抜けが採用されるケースが多い。当然ノーダメージで抜けれる「投げ抜け」採用のゲームの方が投げに対する期待値が弱くなる。

上記、3つのポイントを比較していくと、やはりヴァンパイア系の「投げ受身を採用しつつ小技暴れも許さない」投げ性能の高さが伺える。この辺りヴァンパイアに攻めゲー的印象がある所以か。ゼロ3・カプエス2あたりはガードクラッシュと交えて調整された投げ性能となる。近づいてからの攻め合い以外にも、立ち回りでガードを崩せるゲームであると言えよう。スト4はヴァンパイア系を上回る投げ性能ながら、他に比べて断トツに高性能な投げ抜け性能でバランスをとっている。強力な投げ性能はややスト2を意識したものだろう。こうやって投げシステムを見ていくだけでも、そのゲームがどんなゲームかが伺えるのが面白いところ。細かい数値関連もしっかり把握して、投げポイントをしっかり意識し抑えていってほしい。
text by K (2009.06.01)